調髪のキング 閉店


ただの身内の話ですが…

去年の年末に祖父が亡くなって、その祖父が長年細々と営んでいた床屋も閉店しました。90近い歳だったので現役理容師だとだいぶ高齢な方だったんじゃないかと思う。
(最近の葬儀でびっくりしたことは湯灌の時顔に潤いを与えるシートパックをする!祖父は人生初パックだっただろう…)

祖父の店は、昭和の時代そのままの結構…かなり…ボロい感じの床屋で、店の中も家具も道具も何から何まで昔からの、ガチのレトロな物品を使い続けているのでほとんど開拓の村に展示してある床屋に近いところすらある床屋だったのだけど、私はそのレトロ過ぎる道具を見るのが結構好きだった。
薄緑色の四角い消毒機械や、オレンジと青の花火のような謎の模様がついた銀色のタオル蒸し機械、青い縁取りのある白いホーローの洗面器、金属がガチャガチャなる手動調節椅子、蛍光紫や蛍光緑のポマード、ウサギだか豚だか馬だかの毛のブラシ、髭剃り用の泡立て刷毛、ボロい箒とちりとり、煙突ストーブとその周りに置かれた客用のジャンプとスピリッツと週刊誌、茶色いソファ、でかいガラスの灰皿、やかん、雑に重ねられた営業許可証、棚の中に並んでる鋏と剃刀とバリカン、客は常連の高齢なお爺さん達、外にグルグル回っているあの赤と青と白のやつ、

そして店は怪しいリフォーム業者や電気屋に定期的にカモにされかけるを繰り返していた…多分…

多少の親戚トラブルもありつつ最近ようやく少しずつ片付けられているようでいずれは綺麗に何もなくなる。それはちょっと寂しいけど仕方ないことだし、身内の話を人に公開するのは恥ずかしいけど、昭和の空気を残しすぎてた床屋とその道具のことをこれからも少し覚えていたいと思って書きました。

今は犬がひとりでその家に住んでいる。夜は近所に住む叔母が世話しに行ってるみたいだけど昼間ひとりでどのように過ごしているのかなぁ。犬は、それまでずっと同じ空間に暮らしていた祖母や祖父がもう帰ってこないことをいつの時点でどのように理解しているんだろう。むしろ人間の私が死んだ人はもういないんだと理解できているといえるんだろうか。未だに。

おじいちゃんの家は床屋なんだよね、店名はバーバーキングという話をしたら綾子ちゃんがなぜかその店名いいねと笑ってくれたなぁという事を思い出しました。

14日にタッカンマリ食べるの楽しみです。

なお